ファーストカットを斜めにするだけ!レモンをかわいく切る方法
揚げ物や焼き物の皿にそっと添えてあるレモンやすだちなどの柑橘類。皮を剥くと1つ1つ房...
「私は無意識に、紅茶に浸してやわらかくなった一切れのマドレーヌごと、ひと匙のお茶をすくって口に持っていった」

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紅茶に浸したマドレーヌの香りによって、幼い頃の記憶が突然呼び起こされた――。20世紀を代表する名作小説『失われた時を求めて』は、マドレーヌから始まる長い長い物語です。作者のマルセル・プルーストはパリ郊外生まれのフランス人。青春時代を社交界の華やかなサロンで過ごした彼が、フランスの伝統菓子ともいうべきマドレーヌを物語の入り口に選んだのは、たまたまの偶然だったのでしょうか?
この小説のマドレーヌの一節があまりに有名になったことにちなんで、嗅覚や味覚から過去の記憶が鮮明に蘇る心理現象は「プルースト効果」と呼ばれるようになりました。香水の匂いでふっと懐かしい人を思い出したり、花の匂いで過去の記憶が呼び覚まされたりした経験は誰しも持っていることでしょう。
実は、嗅覚は五感のなかでも突出して感度が高く、鋭く、記憶力がいい感覚だといわれています。もっと簡単にいうと、嗅覚は感情に強く訴える感覚だということ。これは鼻の粘膜の受容体からのシグナルが、脳にダイレクトに届くため。味覚や嗅覚などいくつもの段階を経て脳に情報が送られる他の感覚に比べると、ノイズが入りにくいことが要因のひとつです。
『失われた時を求めて』の主人公も、マドレーヌの味そのものよりもその芳醇な香りによって古い記憶が蘇ります。言い換えれば幼い日の記憶にはっきり残るほどに、彼のなかではマドレーヌの豊かなバターの香りが印象的だったということでしょう。
ちなみに、マドレーヌはキリスト教の巡礼のシンボルであり、中世の通行証でもあったホタテ貝の形に焼き上げるのが本場の伝統です。ぴったり合わさっていた貝がそっと開くように、ふとしたきっかけで物語が始まることのメタファーとしても、やはりマドレーヌ以上にふさわしい焼き菓子はないとプルーストも考えたのかもしれません。ミルフィーユでもシュークリームでもフィナンシェでもなく、この長大な小説のはじまりを飾るのはやはりマドレーヌが最もふさわしいお菓子なのです。
参考文献:『失われた時を求めて』 プルースト/著 鈴木道彦/訳 集英社 『料理と科学のおいしい出会い』 石川伸一 同人選書
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