昭和のモンブランが「黄色」だった理由

秋のケーキの主役といえば、やっぱりモンブラン。スポンジケーキやタルト生地で作った土台の上にマロンクリームをスパゲッティ状に絞って山盛りにし、てっぺんにマロングラッセをのせたこの洋菓子は、いまや秋のパティスリーのショーウィンドウに欠かせない風物詩です。

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もともとの名前の由来は「白い山」

名前の由来はフランスとイタリアの国境近くに位置する、ヨーロッパアルプス最高峰の「モンブラン」から。山の形に似せて作ったことから、フランス語で「白い山」を意味する「モンブラン」の名前がつけられました。モンブランの上に振りかけられる粉砂糖は、山を覆う雪を表現したものなのです。

ところで最近のモンブランは白に近いベージュ色の商品がほとんどですが、大人の皆さん、ちょっと子どもの頃に食べたモンブランを思い出してみてください。そのモンブラン、黄色ではありませんでしたか?

昭和のモンブランは「黄色」だった

そもそも本場ヨーロッパでは、栗ペーストに生クリームや砂糖、ラム酒などを混ぜて作るマロンクリームを用いるモンブランが普通でした。

一方、昭和のお菓子屋さんのモンブランといえば、栗きんとんのような鮮やかな黄色のものが定番でした。実はあの黄色いマロンクリームのルーツは、白あんに砂糖と黄色い色素を混ぜて煮上げ、マロンの香料で風味付けしたもの。太平洋戦争直後の物資が貧しかった時代に、日本の菓子職人が苦肉の策で作った「マロン風クリーム」なのです。その他にも安価に抑えるため、サツマイモやカボチャのクリームを使ったり、マロングラッセではなく甘露煮が乗せられたりとさまざまな工夫が施された「モンブラン」が数多く誕生しました。

つまり昭和のモンブランは「モンブラン風」だった、といってしまえばそれまでですが、そこには和魂洋才ともいうべき菓子職人たちの創意工夫があった見るべきでしょう。また、それまで洋菓子に馴染みが薄かった中高年からも「栗きんとんに似ているからモンブランなら食べられる」という声が上がるようになり、洋菓子人口の裾野が広がるのに一役買ったともいえます。

本場の上品なモンブランと、和の食材がルーツの庶民的なモンブラン。どちらもそれぞれのおいしさがあることをお忘れなく。(TEXT:料理サプリ編集部)

参考文献 『お菓子な歳時記』(吉田菊次郎/時事通信社)

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